女性というのは後悔するものです。とかく悔やんでしまうことが多い。
女性にとっては常に自分が中心にいるものですから、不満や鬱憤は反省よりも後悔ということに傾きがちなものです。
自分への反省ではなく人のせい、選んだ人が悪かったという後悔です。
そうして特に熟年になって歳をとると、恋愛や結婚について後悔しているという話が女性から漏れてくることがあります。
結婚生活すら後悔していると言う人がいます。
そして、
あの時、ああすればよかった。
あの時、あの人の告白を受け入れていればよかった。
あの時、あの人を選べばよかった。
なんて、今のご自分を嘆かれることになります。
その果てには過去の選択をやり直そうと思ったりします。「あの時」をもう一度と、叶わぬ願いを思ったりするのです。
でも、だからと言って、もう一度やり直せるような場面に遭遇したとしたらどうでしょう。例えば昔の男性と再会したとしたら。
そうして間違ってしまう女性というのはいるものです。不倫になってしまったり、ひどくお互いの今の変化に気が付かされてがっかりしてしまったり。
熟年という大人の人々でそうしたケースがあることには驚かされます。
なぜ「昔をやり直せる」なんて思えたのか、と。
結局、それは熟年離婚と同じ延長にあることだと思うのです。
そもそも、やり直せるなんてことがあるわけがありません。お互いに歳をとり、まるで生き方は変わってしまったのです。思い出と現在は違うのです。
ですから、「やり直せる」なんてことはできるわけがないのですが、なかなかそれが女性には分かりません。
もし「やり直せる」ことができるとしたら、夫婦関係を修復する方がずっと大事で簡単なことなのに、なぜか別の道を選ぼうとする女性がいます。
それは後悔が故のことです。自分の反省よりも恨みが先に立ってしまうのです。
もちろん、そうしてもすぐに我に還えるものなのですが。
離婚して復縁というのは、よく聞く話です。
誰も今の自分を否定することはできません。
歳を重ねてきたということは、その間、積み重ねてきた人生の時間があるということです。
間違ってもそれを「やり直す」なんて気にはならない方がいい。
これは特に女性は注意された方がいいことだと思います。
ある種の女性にはそういう傾向が強い。後悔が高じて、「やり直せる」と思い込んでしまう女性がいます。
しかし、大事なのは今ではないでしょうか。現在の不満やスレ違いに向き合うべきなのです。
「前向きに」というのはそういうことです。 それはあの時、別な道があったはずだなどと夢想したり、熟年離婚に走って逃避することではありません。
今を生きようとする女性ならいつも溌剌としているものです。
どんな年齢になってもそれは表情に出る。肌のツヤや張りにさえ表れます。
ご自分を大事に思うからこそ、過去ではなく、これからのことを思って判断して欲しい、そう私は思います。
一方、たいていの男性にはそういう女性の気持ちというのが分からないものです。
後悔よりも諦めようとするのが男性の傾向です。
それは男性というものの前向きさの裏返しかも知れません。
もし仮に男性に「別れた女性とまた会いたいか」と聞けばたいていの男性は否定することでしょう。
男性というのは想い出として過去を大事にするものです。男性は昔の人の写真を大事にします。女性にはそういうことはあまりありません。
もちろん、「また会いたいか」というのは「興味本位」という意味ではなくて「復縁」を前提としたことですが。
男性は過去をあまり振り返ることはないものです。
ましてや、過去をやり直したいなどとは考えもしないものです。
逆にもし、過去の女性との復縁を望むような男性がいたとしたら、独りよがりな傾向がある人かもしれません。
それは自分を大事にするあまり過去の失敗が納得できないと考えるような男性です。
過去の選択を後悔して相手が悪かったと思い、やり直してみたいと考える女性に較べると、そういう男性は自分に耽ってしまうように思えます。
しつこくつきまとってしまうストーカー気質の男性にはそんなところがあります。
相手のことなど考えず、ご自分の理想を作り上げてしまっているケースが多いかも知れません。
しかしこの場合もやはり相手も自分も歳をとっているということ、すっかり別な時間が積み上げられていることには変わりはありません。
そうした現実が見えない男性となると厄介です。
また、そんな男性はたとえ復縁できたとしてもどうか。たいていは済んだことをまた蒸し返す形になってしまうものです。同じことの繰り返しになるだけです。男性と言うのは成功体験にしても過去の想い出にしても繰り返そうとするものです。
一方、復縁した女性の側からすれば徒労に感じられる。
これは女性からすれば受け入れられないことでしょう。女性というのは時間の重みがよくわかっているものです。
しかし普通は男性というのは女性よりもずっと刹那的なのです。復縁できたとしてもかりそめのものになってしまうでしょう。
切れてしまえばもう忘れてしまうしかない、たいていの男性はそれを知っています。
別にドンファンのような生き方ではなくとも、男性は女性を経験して喜びを覚えるものだからです。
仮にずっと同じ女性との関係が続いていたとしても、それはたまたま相手の女性とマッチングし続けたというだけです。
男性には女性を追い求める傾向があります。
それが過去をあまり振り返ることのないごく普通の男性というものです。
一方の女性は恋そのものを追いかけます。
一方、過去を後悔してやり直したいと願う女性はどうでしょうか。
やがてやり直せたとすればそれが過去の自分を否定してしまうことにすぐ気がつくはずです。
そうして今をなんとかしたいだけという自分の不満に気がつく。
過去のことを蒸し返しても今の不満は解決できません。
ただご自分が間違っていた反省をしたくないというだけなのです。
男性の場合はやり直すことなどできないのは普通は分かっているものです。
やり直したいことに同意してくれる男性からすればは同じことの蒸し返しになります。
女性の場合が逃避であるのに対し、男性の場合には男性特有の繰り返し願望に近いものになるでしょう。
男性はご自分の過去について納得できないというだけです。
だから過去を辿って繰り返することに執着してしまいます。
たいていの男性はダメだったことに見切りをつけられるものですが、女性からの復縁の誘いに抗える男性もまた少ないものです。男性は女性を追い求めます。
熟年や壮年の婚活である場合、その前歴、婚姻歴というのは必ず付きまとうものです。
過去との訣別のつけ方というのは若者以上に大事になってくると思います。
女性なら過去の後悔を現在に投射してしまい、別な道を探そうとしてしまいがちです。それが自分が本来は望まないようなことでも魅力的に感じます。
つまり過去の過ちから逃避しようとしているのです。
これが男性なら、過去のよかった思い出を繰り返そうとして同じタイプの方を選び、相手のことを考えないまま一人芝居になってしまいがちです。
これが男性と女性の違いです。
どちらも過去の思い出との折り合いがうまくゆかない人たちの場合ですがパターンは男女で違うものです。
結局、男性にしても女性にしても、どちらも、自分の「今」を尊重すべきなのです。
すべてが新しいこと、新しい出会いなのですから。
過去を後悔することも、過去を引きずることも、想い出を繰り返そうとすることもしてはいけません。
ただ目の前の新しい出会いを考えるべきなのです。
これまで生きてきたことの経験はこれからの出逢いとはまるで関係はありません。
無理をしてでもそう考えるべき場合さえあるでしょう。過去に囚われる男性と過去をやり直したい女性、どちらも新しい出会いには障害となってしまうのです。
もちろん、これまでの因縁や予兆として過去と現在を結びつけたり、運命的なものを感じてしまうのはよくありがちな間違いです。
人生にはやり直しもなければ、全く同じことの繰り返しもありません。
あるのは新しい経験と出逢いだけです。
年齢を重ねれば重ねるだけ、どうしてもこういう間違いは起きがちなことだと思います。それは積み重ねてきた経験が邪魔をしてしまうということです。
それだけ熟年・壮年の婚活は難しいものになります。
人生には繰り返しややり直しはできることはほとんどありません。挽回できるというだけです。
だから、男性の繰り返し願望は自己中心的なエゴに過ぎませんし、女性がやり直せると感じることは自己弁護や言い訳に過ぎないのです。
後悔や納得するためではなく、前を向いて新しい出逢いに踏み出していただきたいと私は思います。