相手のスマホを勝手に見てもいいか?
古くて新しい問題です。
「夫婦やカップルなら相手のスマホを見てもいいか」、そんな議論です。
「見せてもらう」ということではありません。「勝手に中身を覗く」ということ。
それは「盗み見る」ということも含まれます。
「別に盗み見たわけではない」なんて言い訳もあるでしょうが相手に断らずに黙って覗いたのであれば「盗み見」と同じことです。
どうなのか。
まず当然のことですがこの命題には「他人のスマホを勝手に見てはいけない」という前提があるわけです。
つまり「他人ならいけないかも知れないが夫婦やカップルの関係だったらいいのか」、そんな命題ということです。
「他人のスマホを勝手には見てはいけない」という前提は正しいことです。
それは他人のプライバシーだから。
他人のプライベートの領域に無闇に入り込むな、立ち入るな、覗き込むなということです。これは正しい。
では夫婦や恋人同士だったらどうなのか。
同じです。
ダメなのです。
それが秩序を構成しているもののひとつでもあります。
人間にはコミュニケーションが必要です。そのためにはお互いがお互いの領域を尊重しあっていなければならないのです。
夫婦関係にこそ会話が必要なことは言うまでもありません。夫婦が互いに尊重し合わなくなると会話がなくなりがちです。
他人のプライバシーを知ることで相手のことを背負わされたり、知ったことで巻き込まれてしまうということだってあります。
たいてい面倒なことになります。決して得にはなりません。
相手が打ち明けたり向こうから見せてくれるのでもない限り、あくまで個人の領域なのです。
だから他人のプライベートはできるだけ見ないようにするわけです。
たとえウッカリ見てしまったとしても見てないフリをするものです。
ここまで考えれば他人同士でも夫婦であっても同じことだと分かるでしょう。
プライベートな領域に不用意に立ち入ってしまうとお互いの関係がギクシャクしてしまうことがあります。それは誰でも経験していることです。
たとえ夫婦でもお互いにどういう態度をとったらよいか分からなくなってしまうのです。
相手のオナラの音なんて聞いてしまったらどうしたらよいのかw
特に男子として困るのは男子ならみなよく知っていることです。
夫婦間でもプライバシーがある、考えればわかることです。
相手のスマホを勝手に見てはいけないのです。
プライバシーは相手の独立性のためにある
では、なぜスマホを勝手に見てはいけないのか。
奥方というのはパートナーです。夫に従属しているわけではありません。もし従属した関係だとしたらまるで面白くありません。
「妻としての役割だけに徹する」というのであれば誰がやっても同じことです。
何も面白くもない。その人である必要もありません。ロボットやAIでもいい。
夫婦というのは独立した男女同士として協働して二人で暮らしを築いてゆくものなのです。
だから奥方には奥方としてのプライバシーを持ってもらう必要があります。
そうすればパートナーとして強い関係を持つことができます。それは旦那様の側にしても同じことです。
人と人が独立した立場で公正に関係を持つ、これが「プライバシー」というものの役割なのです。
相手の独立性を尊重しなければなりません。
それが信頼関係を作るからです。
それがコミュニケーションの基礎です。
だからむやみに相手のスマホを見てはいけないのです。
その昔は子供が子供部屋を欲しがったものでした。
よくある家庭の問題とされたものです。
豊かな時代になる前は普通は子供部屋などありませんでした。
我が国が急速に豊かになるとともに独立した子供部屋の問題はよくある家庭の話題となってゆきました。
親に干渉されたくない、自分の部屋が欲しい。子供たちはみな、そう訴えたものです。
女子は日記帳に鍵をかけました。
男の子ならノックしろと言ったりした。自分のエリアに許可なく入るなと要求したものです。
そうして子供が自分の領域を意識することで子供の自意識は育ちました。成長につながったのです。
プライバシーがない、相手を意識することがないからお尻をボリボリかいて旦那の帰宅を背中で迎える、そんなことになってしまうのです(笑)
まあ、子供については今のようにあまりに不干渉が前提となると逆に子供の自立を妨げてしまっている気がしないでもありません。
親からの干渉があることを警戒するから子供は自分の領域を意識したのですから。
大人の場合は逆になります。
相手から不必要な干渉をされる、そんなことをいちいち警戒しなければならないのは二人の関係が曖昧だからです。
自立した大人なのですから互いに信頼が必要です。
子供とは違って、お互いが独立した人間であることは言うまでもありません。
だからプライバシーへの配慮は当然のように必要なのです。
プライバシーとセキュリティ
こういうプライバシーというのは「個人情報」という言い方でくくることもできます。
スマホの中身は一般的には「個人情報」ということになります。
しかし個人情報にはプライバシーとはまた違った面があります。それは「セキュリティ」ということです。
よくニュースなどで取り沙汰される個人情報というのは主にこのセキュリティの問題が中心です。
それは安全に関わることです。
プライバシーが人の独立性を裏付けるものであるのに対し、「セキュティ」というものは安全にかかってきます。
小さな個人情報が漏洩したことで闇バイトの標的にされたり、悪質なセールスをされたり、宗教の勧誘に遭ったりする。
犯罪に利用される可能性だってあります。
「プライバシー」が相手への配慮や尊重であり、「セキュリティ」は安全の問題なのです。
つまり「個人情報を守る、尊重する」というのはプライバシー面とセキュリティの面とふたつの面があるのだと言えます。
付け加えれば、「セキュリティ」はそれを尊重する側の評価基準としても使われています。
その会社がどれだけ個人情報を守ろうとしているのか、すなわちコンプライアンスを守ろうとしているか、そうした意識のある組織かどうかという評価です。
そうした意識が薄ければ今の時代では信頼できない組織ということになります。つまりセキュリティは会社の評価尺度にもなっているのです。
会社が個人情報保護に敏感な今の時代は、その姿勢がその会社の評価につながっているからです。
例えば昔の教師などは生徒の個人情報への意識は非常に低いものでした。
教師からクラスのみんなに誰それの親御さんは議員だとか、何の仕事をしてるなどと何の抵抗もなく洩らされてしまったものです。
兄弟がどこのクラスにいるとか、どこへ進学したとか、不用意に教師が喋ってしまったものです。
初潮があった女子のことをクラス全員に説明してしまったり。
こうなるとプライバシーもセキュリティもまるでありません。
クラスのみんなの前でテストの成績を発表することも普通でした。ああしたことで傷ついた子供もいたことでしょう。
これらはセキュリティに関わる問題です。
だから相手のスマホを見てはいけないのでしょうか?
「相手のプライバシーを尊重しなければならない」という意識、あるいは「個人情報の保護に注意する」ということは人を詮索したり徒に関心を向けることを戒めるからでしょうか。
たとえ奥方であっても、無闇にどんな下着を着ているかなど詮索してはいけない、それはエチケット違反になるのだ、と。
いや、しかし「プライバシー」は「セキュリティ」とは違うものです。
夫婦二人の間では本質的には「プライバシー」しかありません。
例えば歩きスマホをやっている人たちが何を見ているのか、ほとんどの人は知らないでしょう。
私も彼らが何を見ているのか知らないし知りたくもありません。
ぶつかりそうになりながら歩きスマホをするバカに関心はありません。
しかし奥方や旦那様、パートナー同士の関係ならどうでしょうか。その関係にセキュリティが占める割合は少ないのです。
互いに相手のことには関心はあるわけです。なければ困ります。
しかし夫婦関係でもあれこれ詮索されるとなると軋轢を生む場合もあります。
相手の独立性を侵害してしまうことになるからです。それが「プライバシーの尊重」という前提です。
しかし別に隠してるかどうか、隠し事があるかどうか、そんな問題ではないのです。
相手に無断でスマホを見ていいのかどうかということです。
それは「プライバシーの問題」なのです。相手を尊重しなければならないのです。
相手のスマホを勝手に見ていいのか。
夫婦だからつい見てしまう?
それが妻や旦那の権利だから?
そうでしょうか? いけないのです。
家庭内でセキュリティはなくともプライバシーはあるのです。
突き詰めればなかなか答えの難しい問題です。
それは「見る側の問題」である
もちろん夫婦であっても「プライバシー」だけでなく「セキュリティ」に関わる場合もあります。
例えば、スマホに業務情報があったらそれはセキュリティに関わることになります。夫婦間というよりもそれは所属組織から見た問題となります。
機密を見られれば相手が誰であっても情報漏洩に当たります。たとえ夫婦であってもインサイダー取引に問われるのです。
夫婦だからって刑事が捜査情報なんか教えてはいけません。
業務上知りえた機密は許可なく権利のない人に洩らしてはいけないのです。
ちなみに意外とマスコミはこういうことを平然とやっています。
「政府筋」だの「関係省庁の関係者」などと、そうした機密情報やリークされた情報を「ニュース」として流しています。
これは情報の漏洩ではないのか。まるでケジメがないように思えます。
すると夫婦間でもこれは「ケジメの問題」ということになるのでしょうか?
確かにご主人の警部としてのコンプライアンスとか、あるいは会社員としてちゃんと評価されるかどうか、その資質が問われてしまう問題ではあります。
しかし夫婦二人の関係として言えば別なことが言えます。
むしろ「なぜ見たいのか」ということではないでしょうか。
なぜ相手のスマホを見たいのか、相手の何を知りたいのかです。
「なぜ見たいのか」、それは見る側の問題なのです。
相手方に何か疑いを持っているからでしょうか。そうだとしたら問題です。
疑いがあることは信頼関係にヒビが入ることになります。単なる好奇心で片付けることはできません。
つまりなぜパートナーのスマホを見たいのか、それは見る側が自分の胸に聞くべき問題だということです。
そうやって突き詰めて考えた時、答えることが出来ない、あるいは言い訳ができないということは「やってはならないこと」になると考えるべきなのです。
例えば奥方が倒れてしまって病院に担ぎこまれたとします、奥方が事故に遭ってしまった。
そこで奥方のスマホを探して妻方の実家の連絡先を探すのに躊躇する人はいません。
理由があれば自然に見れるのです。
要するに「なぜ見るのか」、それを相手に言えないのであれば見るべきではないということです。
それなら相手の浮気を疑っていることを相手に言えるでしょうか?
できない?
あらぬ疑いをかけたことで関係にヒビが入ってしまうことを想像すれば怖いことです。だから、見たい理由を言えないからスマホを盗み見ようとするのです。
なぜ疑っていることを相手に言えないのでしょう。
相手を信じてないからです。
どうせ相手の言い訳や嘘に誤魔化されてしまうはずだ、その惧れを感じているからコッソリ盗み見てみたくなるのです。
あるいは「相手を信頼してない」そのことを知られたくないから盗み見るしかないのです。
どちらにしても、それならやってはいけないのです。
人を試すようなことはしてはいけません。
それは決してご本人の望む結果にはならないでしょう。
「自分が相手にどのくらい愛されてるか知りたい」、それは決して問いかけてはならないことなのです。
もしあなたが期待していたことと違っていたとしても責められることではないものだからです。
もちろん、こちらもスマホなどのプライベートなものを不用意に相手に見れるような環境にしておくべきではありません。
自分のスマホを不用意にそこらに出しっ放しにしておくべきではないのです。
もしそうした注意がされてないとします。
そうなるとプライバシーにケジメがない関係ということになってしまいます。セキュリティ、守秘義務も守れない関係です。
あるいは相手を常に試すことになります。勝手に盗み見たりしないよね、と。
そこまでくると「仮面夫婦」と言ってもいいかも知れません。
そんなことになってしまいます。得られる実りは少ないものです。
見たい理由が言えるか自分に問うべき
例えば夫婦の言い争いを録音したりするでしょうか。
「隠し録りする」ということです。
これもスマホを盗み見ることと同じです。
「なぜ録音するのか、その理由が言えるか」ということです。
相手に理由を言えないから隠し録りするのです。
もちろん、そんなことを伝えて録音しようとしてもとたんにわだかまりが出来てしまうでしょう。
夫婦関係はたちまち崩壊の危機です。
そんなやり方を吹き込むことがアドバイスと考えてるような連中が世の中にはいます。
「夫からいちいち小言を言われてストレスを感じる」、そんな相談に「やりとりを録音しておけばいい」、そんなことを平気で言ってアドバイザーを気取っている連中がいます。
相手にしてはいけません。狂ってる。
実際、人と話をするのに隠れてその様子をいちいち録音する人というのが稀にいるものですが、おかしな人物であることが多いものです。
あのKKも会話を録音してそれをネタに秋某家に強請りタカリみたいなのをしたと言われています。それがあの駆け落ち劇になったわけです。
まあ秋某家は公人でもありますし、あの家自体がおかしいですからどっちもどっちなのかも知れませんが(笑)
とにかく、何のために隠し録りするのか。
それを使って離婚訴訟なり示談交渉を進めるためではないのか。それが念頭ではないのか。そのための備えではないのか。
離婚に有利なように証拠集めをしているのではないか。
するとすでに隠し録りしている時点で夫婦関係は破綻していることになります。
スマホを盗み見るのとは形は違いますが隠し録りの理由は言えないのですからスマホの盗み見と同じです。やるべきではないのです。
もし浮気を疑っているなら聞けばいいのです。
なぜ理由を言って聞けないのか。
「どうせ嘘をつかれる」そんな風に決め付けているからでしょうか?
「何を言われてもスマホを見るまでは信用できない」そんな風に思ってしまうからでしょうか?
そうだとしたら既に関係は破綻しているのではないのか。
そうではない?
ではやめるべきです。
スマホを見ようとする理由が相手に説明できないなら見てはいけないのです。
しかし最も重要なのは見る側の問題なのです。その理由が言えるかなのです。
だから絶対にバレないのだからいい、バレなければ盗み見てもいいということにならないのです。
まあ、「絶対」というのはまずないものですが(笑)
百歩譲ってこんな時どうしたらよいのか。
「スマホの使い方を自分のものと較べたい」、「ブックマークを共有したい」、せいぜいそんな理由を言って見せてもらうしかありません。
あまりお勧めはしません。自分に嘘をつくことになります。
しかし浮気を疑って探りを入れるというならそんな方法しかないのです。
でも、そんな相手を疑う気持ちを抑えられなくなってしまったというならすでにヒビの入った夫婦関係なのかも知れません。修復する方が先決ではないか。
そのことをご自分にまず問うべきなのです。
録音したい、それだったらどうしたらよいでしょうか。
「小言を言われるなら録音して後で何度も聞き直してみたい」、そんな風に断ってやるしかありません。
でも録音したものを使って何をしようというのでしょう。
「イザ離婚となった場合に備えておく」、それなら気持ちなどもう離れているのではないでしょうか。小言を言われるだけ損というものです。
スマホを勝手に見てはいけません。
相手のプライバシーを尊重するためです。
セキュリティのためではないのですからどんな口実もありません。
もしどうしても見たいというなら理由を説明できるでしょうか。できないなら見るべきではないのです。
結局、スマホの中身を見たい理由は自分自身にこそ問うべきなのです。